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宇宙撮影体験とは?
かつて、宇宙にあるものを操作し宇宙から地球を撮影することは、専門的な知識と訓練を積んだ限られた人々にしかできない特別な行為でした。
しかし、時代は変わったのです。
超小型人工衛星『EYE』は、2023年1月、打上げに成功。2025年2月に大気圏に再突入し、その役目を終えるまでの間、数多くの人々に新しい体験を届けてくれました。『EYE』による「宇宙撮影体験」は、ユーザー登録していただいたクルーの方々が撮影リクエストを送り、人工衛星が実際に宇宙から撮影を行うという、まったく新しい体験が実現されました。専用のアプリケーション「EYEコネクト」を通じて、『EYE』の軌道や地球の位置をシミュレーションしながら、撮影のタイミングと対象地点を指定。後日、『EYE』が撮影した宇宙や地球の写真が、地上に届けられました。
打上げ後のトラブルでアングルがずれることや、雲などの気象条件によって、想定とは異なる風景が写ることもありました。しかし、それも『EYE』がその瞬間に見ていた、宇宙と地球のリアルな姿。偶然がもたらした風景も含め、『EYE』が提供した写真や動画という記録を超えた「宇宙とのつながり」そのものでした。
「宇宙撮影体験」参加者は約500人
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『EYE』を活用した「宇宙撮影体験」は、2024年に複数回にわたって実施されました。
第1回は2024年3月から4月にかけて行われ、抽選で選ばれた30組の参加者が宇宙からの撮影を体験しました。第2回では参加枠が60組に拡大され、同年5月から6月にかけて実施。さらに第3回では7月から9月の3カ月にわたり最大100組が参加。そして10月から11月にかけて、「宇宙撮影体験」のファイナルが開催されました。ファイナルでは先着順による参加受付が行われ、1日あたり最大6組、合計で60組ほどが宇宙撮影を体験しました。
「宇宙撮影体験」から生まれたドラマたち
たくさんの方々に応募いただいたなかから、「宇宙撮影体験」に参加いただいたのは合計約500名にのぼりました。「卒業を迎える生徒たちに、世界で一つだけの衛星から撮れる写真をプレゼントしたい」という思いで宇宙撮影を体験した中学校の理科の先生、「高校生活って忙しくて、気持ちが混乱して、視野が狭くなってしまうことがあるのですが、そんな時に宇宙に思いを馳せることで、すごく視野が広くなります」と語ってくれた天文気象部の高校生やIT企業にお勤めの山好きの会社員の方。また、体験するだけではなく体験から得たインスピレーションをもとに作品制作をした和紙作家の方もいました。
個人はもちろん、親子や友人同士、学校のクラスなど、さまざまなグループでの参加も多く見られ、それぞれにドラマがありました。
『宇宙撮影体験者の声』インタビューは、こちら!
「EYEコネクト」で見つける新しい視点
EYEコネクト」には、「宇宙撮影体験者」の作品を含めて『EYE』が撮影した写真や動画撮影にまつわるメッセージがたくさん掲載されています。宇宙を旅するように、宇宙記念写真を眺めてみませんか?
撮影された写真の背景にあるさまざまなストーリーや想いを知ると、少し違った視点で写真を味わうことができるかもしれません。ぜひ、さまざまな宇宙の視点をお楽しみください。
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さまざまな「宇宙撮影体験」コラボレーションを実施
「宇宙撮影体験」では、さまざまな分野で活躍する方々にも参加いただき、それぞれの視点から宇宙と地球のつながりを発信していただきました。星景写真家のKAGAYAさんは、宇宙からの視点で地球の美しさをとらえた画像や動画を作品として発信。元宇宙飛行士の山崎直子さんは、民間人が宇宙撮影を体験できる時代への感動を語り、自身の経験と重ねてその意義を伝えてくれました。また、ロケット工学VTuberの宇推くりあさんとバーチャルサイエンスコミュニケータVTuberの北白川かかぽさんは、ライブ配信を通じて撮影リクエストだけではなく「宇宙から生中継」を実施。リアルタイムで『EYE』が見ている景色を届けてくれました。その他にも、多様な立場の方々が「宇宙撮影体験」に参加いただいたことで、宇宙をより身近に感じられることにつながりました。
KAGAYAさん(星景写真家)
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誰もが思わず息をのむ、珠玉の作品をわたしたちに届けてくれる星空写真家のKAGAYAさん。 その目を通して宇宙から地球を見つめたとき、そこにはいったいどんな光景が広がるのでしょうか。 みんなの「眼」になることを目指して打ち上げられた人工衛星『EYE』が、KAGAYAさんの「眼」となり、宇宙から地球を撮影しました。
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©2024 Sony Group Corporation, KAGAYA

「地球とその衛星」
地球の昼側の部分は太陽に照らされて明るく輝いています。
眩しい地球が目に入ると、宇宙に見えるはずの星は見えにくいはずです。
そんな漆黒の闇の中に浮かんで見るのが、最も近くにある天体——月です。
©2024 Sony Group Corporation, KAGAYA

「地球と宇宙の光彩」
今日もオーロラが私たちの住む地球を包むように舞っています。
その向こうで輝き地球に光を投げるのは月。そのはるか向こうで輝く星々は、何光年、何百光年も彼方にあります。
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©2024 Sony Group Corporation, KAGAYA

「眼下にオーロラを見下ろす」
月光に照らされた真っ白なグリーンランドの上を緑色のオーロラが舞っています。
地上の明るい光はヌーク(Nuuk)という街の灯りです。
©2024 Sony Group Corporation, KAGAYA

「大気のベール」
月光に淡く照らされた青い地球は、ベールのようにオーロラと大気光をまとっています。
暗い地球の陰の部分(夜)には街明かりが見えています。
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©2024 Sony Group Corporation, KAGAYA

「星月夜に浮かぶ地球」
月光に照らされた夜の地球と星空。
地球をベールのように覆っている黄緑色の光は大気光。中央に写っている明るい星はカノープスです。
大西洋上空から。
2024年10月にアトラス彗星の撮影に臨んだKAGAYAさん。彗星を撮影することはできませんでしたが、なんとオーロラを動画で撮影することに成功。大気光とオーロラが組み合わさった様子はとても美しく、地上から見るオーロラとは違う宇宙から見たオーロラを見事に捉えた動画になりました。
KAGAYA(カガヤ)
国内外の星空を撮影する写真家。写真集『星月夜への招待』『天空讃歌』『天空への願い』ベスト版写真集『StarryNights』などを刊行。星空写真は小学校理科の教科書にも採用される。写真を投稿発表するXのフォロワーは90万人を超える。
宇宙と神話の世界を描く作家でもあり、画集が刊行されている他、プラネタリウム番組「銀河鉄道の夜」が全国で上映され観覧者数100万人を超える大ヒット。
天文普及とアーティストとしての功績をたたえられ、小惑星11949番はkagayayutaka(カガヤユタカ)と命名されている。
宇推・北白川研(VTuber)
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世界中のロケットをライブで解説し、宇宙開発に造詣の深いロケットアイドルVTuberの宇推くりあさん。科学と人をつなぐバーチャルサイエンスコミュニケータとして活躍している北白川かかぽさん。
そんなお2人と、みんなの「眼」になることを目指して打ち上げられた人工衛星『EYE』がコラボレーション!
リスナーの皆さんを巻き込んで、宇宙から地球を撮影する企画、さらには宇宙から『EYE』見ている景色をリアルタイムで届ける「宇宙から生中継」に挑戦しました。
2024年6月29日(土)、宇推くりあさんのYouTubeチャンネルでコラボ配信を実施。
リスナーと一緒に撮影する場所を決定し、『EYE』への撮影リクエストを行いました。
お2人のゆかりの地や、ロケットならではの場所、特徴的な地形のエリアなど、地球上のいろいろな場所を「EYEコネクト」で巡り、悩みながら、最終的に選ばれた場所は果たして…?!
2024年8月7日(水)、北白川かかぽさんのYouTubeチャンネルで、撮影した宇宙写真を公開しました。撮影リクエストを送ったのは11枚。1枚ずつ結果を開封していきます。
リスナーの皆さんが写真内の情報から撮影された場所を特定したり、宇推さんと北白川さんが写真からたくさんの発見をしたり、宇宙写真の前でお2人と記念撮影をしたり。密度の濃い、お披露目会となりました!
2024年10月27日に初めての試みとして、『EYE』が今まさに宇宙から見ている景色を目の当たりにできる生ライブ配信「宇宙から生中継」を実施。
『EYE』の姿勢が安定せず残念ながら失敗。
このままでは終われないと11月23日「日本列島生中継リベンジ」で再チャレンジ。見事に生中継が成功しました!
2025年1月18日、日本列島生中継の成功から今度はヨーロッパから「宇宙からカスピ海生中継」にチャレンジ。
思うようにリアルタイム中継が叶わず、2月8日「宇宙から生中継ヨーロッパ編」2月9日「宇宙から生中継ヨーロッパ編 リベンジ」と配信を実施。
思いがけないドラマが待っていました!
山崎直子さん(元宇宙飛行士)
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『最後の写真』
このナイル川の写真を見ると、古代文明の時代から人類が歩みと革新を続け、人工衛星を打ち上げる迄にいたった悠久の時の流れを感じます。
榎本麗美さん(宇宙キャスター)
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『幻想的な1枚』
皆様を代表して「EYEに最後に見せたい景色」として撮影した1枚。Xで特に人気だった日本です。
『EYE』の姿勢がずれ、太陽捕捉モードでは本来捉えることのできない太陽と地球を同じフレームに収めることができました!
とても幻想的な1枚です。
北山輝泰さん(星景写真家)
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『EYEと私のラストショット』
『EYE』が地球上で最後にいた場所、フロリダ半島のケープカナベラル。2023年1月3日、EYEが宇宙へと旅立っていったとき、私はヘリコプターから空撮を行った。
無我夢中でシャッターを切り続け、行ってらっしゃい、頑張るんだぞ!、胸の中で叫んだ私の眼は大粒の涙で溢れていた。
みなさん、ご協力ありがとうございました!