パートナーとの共創
STAR SPHERE は、クリエイターやビジネスパートナーとも連携し、「宇宙の視点」をひろげることを目指しています。ここでは、連携して事業実証を進めているパートナー様との取組みについて紹介します。
宇宙感動体験×探究学習「ミライ塾」
"宇宙ネイティブ"の高校生が
衛星カメラで見たものは?
- 2022.5.16
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「これまで旅行会社の仕事は、自然の観光資源や他社の施設を使うものでした。新しいコンテンツを自分たちで制作してお客様に提供できないかと考えたとき、大きな可能性を感じさせるテーマが宇宙開発だったのです」
こう語るのは、中高生向けに宇宙開発や先端技術を題材にした探究学習プログラム「ミライ塾」を提供する、株式会社日本旅行(以下、日本旅行)・宇宙事業推進チームの中島修さんです。
こう語るのは、中高生向けに宇宙開発や先端技術を題材にした探究学習プログラム「ミライ塾」を提供する、株式会社日本旅行(以下、日本旅行)・宇宙事業推進チームの中島修さんです。
自由に操作可能な衛星を通じた新たな体験、宇宙感動体験事業「STAR SPHERE」を進めるソニーグループ(以下、ソニー)は、日本旅行と共同で、教育プログラムの開発をスタート。2021年11月には、福岡県柳川市の柳川高等学校の皆さんにご協力いただき、プログラムの事業実証を開催しました。その実証の様子とプロジェクトにかけるソニーの思いを紹介します。
プロジェクトのポイント
- - ソニーがプロジェクトを通して実現したい未来 -
- 宇宙を通した学びにより、高い感受性や生きる力を備えた、"宇宙ネイティブ"を育成する
- - 具体的な実施内容 -
- 衛星シミュレーターを用いた衛星操作撮影の疑似体験を通じて、
子どもたちに「宇宙と直接つながる感動体験」の場を提供する
宇宙を通しての学びが、未来を担う子どもたちを育てる教材になる
テクノロジーとエンタテインメントの力で宇宙の視点を人々に解放し、宇宙感動体験を数多くの人に届けることをビジョンに掲げ、「STAR SPHERE」は発足しました。2022年には宇宙感動体験事業として、地上からリアルタイムで自由に遠隔操作して画像や映像を撮影できる人工衛星を打ち上げる予定です。
この人工衛星の打ち上げによって、今まで宇宙飛行士たちしか見ることのできなかった宇宙からの景色を、誰でも体験できる時代がやってきます。そして、宇宙とその視点が解放されることで、人々に意識の変化をもたらし、豊かな思考や創造性を解き放つきっかけになると私たちは考えています。
この宇宙感動体験を具体的に活用できる領域として、「教育」は大きなテーマのひとつです。
従来のように、知識や情報として宇宙を教えて学ぶのではなく、映像や音、物語で宇宙を体験してもらい、これからの未来を担う今の子どもたちに必要となる新たなものごとの捉え方や、生きる力を獲得してもらうことを目指します。
「デジタルネイティブ」世代が独自の価値観を持つように、宇宙感動体験によって宇宙が身近になった時代に生まれる「宇宙ネイティブ」世代は、新たな価値観として“宇宙から地球を俯瞰する視点”を備えているかもしれません。
彼らは、物理的な上下左右の概念や国境・境界に囚われないニュートラルな感性で、環境や社会問題と向き合い、宇宙の美しさに触れることによって感受性も磨かれていることでしょう。未知のフロンティアに挑むことによって、どんなことにも希望を持って前へと進んでいく力や、新たな価値をゼロから作り上げる力を身に付けられると予想できます。
このように、私たちは衛星撮影を軸とした「宇宙とつながる感動体験」を提供することによって、宇宙の新たな意味、可能性として宇宙ネイティブの育成を加速させていきます。
「教育への考え方に親和性を感じた」担当者が語る共同開発のきっかけ
将来の進路を考える中高生に、最先端科学技術産業に触れる探究体験の機会を提供しようと、日本旅行は「ミライ塾」を2020年9月に開始しました。ローバー(探査車)の遠隔操作体験を通してチームでミッションに挑戦するプログラムや、人工衛星の利活用をデザイン思考のプロセスで考えるワークショップなどを実施しています。
宇宙のアセットを用いた教育分野でのコンテンツ開発経験が豊富な日本旅行は、ソニーと共同で衛星を活用した学校・教育機関向けの体験プログラムを開発しています。将来的には、日本旅行の「ミライ塾」のコンテンツとして全国の学校や教育機関に販売する計画です。
日本旅行でミライ塾を担当する中島さんは、「STAR SPHERE」と共同でプログラム開発に乗り出した理由をこう話します。
「ソニーからお話をうかがった際、『ミライ塾』の考え方と親和性を感じました。日本旅行単独では技術を開発するのは難しく、素晴らしいテクノロジーを持つソニーとご一緒できるのは大きな魅力です。『衛星は教育にも使える』という我々にはなかった新しい視点を持っていらっしゃるところもいいですね」
夜景や海、山…シミュレーターで高校生が撮影したものは?
2021年11月に、体験プログラム初の実証会を柳川高等学校で開催し、72名の生徒にご参加いただきました。
冒頭の動画では、美しい地球の映像とともに、宇宙が身近になりつつあること、そして宇宙からの視点が生きる力を育むことを伝えました。生徒たちがすっかり動画に引き込まれたところで、「こころ」を持たない宇宙人を名乗るキャラクターが登場。「地球人固有のこころを表現した地球のベストショット」を撮影して欲しいと生徒たちに頼みました。
宇宙人のリクエストに応えるべく、生徒たちは「STAR SPHERE」の衛星を再現したシミュレーターを使って、グループごとに地球を撮影していきます。
ロケットの視点を伝えようと射場がある種子島を撮影するグループもあれば、宇宙人の水飲み場になるのではないかと琵琶湖を撮影したグループも。自由な発想で作品作りが進んでいきました。
ベストショットに選ばれたのは、熱帯雨林の伐採跡「フィッシュボーン」を捉えた写真です。環境破壊の現状を自分の目で確かめることで、意識が変わったという生徒もいたのではないでしょうか。ベストショットに選ばれた作品は、衛星の打ち上げ後、実際に同じ角度から衛星で撮影した写真として贈られる予定です。
実証会を終えて
後日、日本旅行の中島さんに事業実証で感じたことを伺いました。
「教材の良さが教室の空気感に現れていましたね。『ミライ塾』の空気感とも似ていたかもしれません。実証会で見つかった課題もあるので、そこを解決していけば、より良い教材になっていくでしょう。宇宙が好きかどうかに関わらず、教材を通して生きる力を高め、将来に希望を感じてもらえると良いですね」
今回の実証会はシミュレーターを使って実施されましたが、生徒たちの評価も高く、「宇宙の視点」を題材にした教育プログラムのさらなる可能性を実感できた会となりました。
ソニーと日本旅行は、事業実証を通じて得た生徒からのフィードバックをもとに、学校・教育期間向けの体験プログラムの事業化に向けた検討を進めていきます。
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宇宙感動体験×コニカミノルタプラネタリウム
「プラネタリウム宇宙支局」
- 2022.8.23
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圧倒的な臨場感と没入感で、満天の星空を楽しませてくれるプラネタリウム。近年は、商業施設に併設されているものも増え、気軽に立ち寄れる場となりつつあります。
コニカミノルタプラネタリウムでコンテンツ制作のプロデュースを担当している清水大輔さんは、ソニーの衛星を活用した宇宙感動体験「STAR SPHERE」の計画を初めて知ったときを振り返り、
コニカミノルタプラネタリウムでコンテンツ制作のプロデュースを担当している清水大輔さんは、ソニーの衛星を活用した宇宙感動体験「STAR SPHERE」の計画を初めて知ったときを振り返り、
「表現の選択肢が増えるのは非常に魅力的。まるで宇宙を覗く新しい窓ができるようだと思いました」
と語ります。
ソニーとコニカミノルタプラネタリウムは、共同でプラネタリウムコンテンツの制作をスタートしました。2021年12月には、実際に制作したコンテンツを有楽町の「プラネタリアTOKYO」で上映する実証会を開催することができました。コンテンツ制作の流れや実証会の様子、そして今後の展望をご紹介します。
プロジェクトのポイント
- - ソニーがプロジェクトを通して実現したい未来 -
- 宇宙と繋がる体験を通して、その場に一緒にいる価値を最大化する空間を創る
- - 具体的な実施内容 -
- 衛星で撮影した映像を用いてプラネタリウムコンテンツを制作し、全国で配信する
思いが詰まった「宇宙視点」の映像に自分を重ね合わせて
コニカミノルタプラネタリウムは、直営店の展開に加えて、全国のプラネタリウムに映像コンテンツを提供する配信プラットフォームを運営しています。この配信プラットフォームに、共同で制作したコンテンツを配信する予定です。ソニーは、2022年秋に打ち上げを予定している衛星が撮影した映像を頻度高く定期的に提供するとともに、楽曲などソニーならではアセットと組み合わせ素材を提供します。
コンセプトは、“宇宙と繋がる体験を通して、その場に一緒にいる価値を最大化する空間を創る”。
頻度高く更新される宇宙のリアルな映像を使って制作するプラネタリウムコンテンツをご覧いただくことで、138億年の宇宙の歴史の中の一瞬一瞬を、家族や友人、恋人と同じ場所で過ごせる尊さを体感していただけるのではないかと考えました。
衛星のカメラの特徴は、自分の目のように自由自在に動かせること。つまり、映像を撮影するタイミングやアングルなどカメラワークの全てに、思いを込められるのです。
宇宙から見た東京を写した映像は、実はそこに住む家族を想って誰かが撮影したものかもしれませんし、誰かが旅行で来た記念に撮影したものかもしれません。映像に込められた誰かの思いを自分に重ね合わせ、自身を見つめ直すことがプラネタリウムという没入空間ならできるはずです。
最大の魅力は、リアルの映像であること
コニカミノルタプラネタリウムがソニーの宇宙感動体験「STAR SPHERE」に参画した決め手を清水さんに尋ねると、プラネタリウムの起源を挙げて説明してくださいました。
「大昔に、何か天文現象が起こり、『世界が終わってしまう』などと噂がたったときに、一般の市民の方々に仕組みを説明するために惑星運航機が作られたのが、プラネタリウムの始まりです。当時は正しい情報を知ることで、安心を得られたわけです。正しい情報を伝えていく場として、リアルの映像を使うことは重要です」
また、「STAR SPHERE」への期待についても語っていただきました。
「業界では、人生でプラネタリウムに行くのは3回程度だとよく言われています。何か新しいチャレンジをすることで、この常識を打破していきたいと思っています」
実証会の様子
2021年12月に有楽町の「プラネタリアTOKYO」で開催した実証会では、初回だということもあり、コンテンツ制作の全体をソニーとコニカミノルタプラネタリウムの共同で行いました。
制作にかかった期間はおよそ3カ月。まずは、シナリオ作りから取り掛かりました。制作の経験が豊富なコニカミノルタプラネタリウムのメンバーが中心となって、仕上げていきました。シナリオが固まってきたら、並行して映像の制作を行います。シミュレーターを使って、衛星が撮影する映像のカメラワークを決めました。ドームに投影するのに必要な解像度の調整などはコニカミノルタプラネタリウム側に担当していただきました。
実証会は全5公演開催しました。前半の3公演は一般の方向け、後半の2公演はコニカミノルタプラネタリウムがコンテンツや機材を提供している科学館関係者などのお客様向けでした。ご参加いただいた方からは「応援したい」「科学館で実験的に使ってみたい」といったお声をいただきました。
実証会を終えて
後日、コニカミノルタプラネタリウムの清水さんに、事業実証で感じたことを伺いました。
「今回使用した素材自体が素晴らしい特性を持っていたこともあり、お客様には十分コンテンツの良さに共感していただけたのではないかと思います」
一方、ソニーの担当である見座田は、まだ改善点もあるのではないかと話しています。
「例えば、毎週といような頻度で最新の映像を提供することで、プラネタリウムに足を運んでいただく頻度の増加や関心度合いの向上を図れるのではないかと考えていました。ところがアンケートの結果を見ると、映像の更新頻度だけでは足りないようで、もう一段アプローチを深掘りしなければならないことがわかりました」
今回得られたフィードバックをもとに、ソニーとコニカミノルタプラネタリウムは、制作するコンテンツのブラッシュアップを続けていきます。
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